介護と仕事の両立がきつすぎる…共感できる現実と支援制度、職場への相談術

「もう無理かも…」——親の介護と仕事を両立している人が、心の中でそうつぶやくことは珍しくありません。特に40〜50代の働き盛り世代にとって、仕事と親の介護の板挟みは深刻な課題です。

「会社の会議中に親から“トイレ!”と呼ばれる」「昼休みに慌てて実家に電話して状況を確認する」——そんな日常が、今や多くの人にとって“あるある”になっています。

本記事では、介護と仕事の両立に悩む人たちのリアルな声や実例を紹介しながら、公的支援制度や企業の取り組み、職場への相談の仕方などを解説していきます。


【1】テレワーク中に呼ばれる現実…在宅介護“あるある”

コロナ禍でテレワークが一般化したことをきっかけに、親を引き取って在宅で介護する人が増えました。

東京都の佐藤さん(52歳)もそのひとり。遠方に住んでいた80代の母親を引き取り、日中は自宅で仕事、合間に介護という生活が始まりました。

しかし現実は甘くありません。オンライン会議中でも母親から「トイレに行きたい」と声がかかり、急いでマイクをミュートにして対応。その後仕事に戻ろうとすると、「お腹すいた」「次の休みはいつ?」と矢継ぎ早に声をかけられる毎日。

最初は「家で面倒を見られるのはありがたい」と前向きに考えていた佐藤さんも、ある日ついに**「仕事中だから何度も呼ばないで!」**と母親に声を荒げてしまいました。

その日から母親は不安感を募らせ、昼夜問わず呼び出すようになり、佐藤さんは自己嫌悪と疲弊に追い詰められました。

こうした在宅介護の苦労は、決して佐藤さんだけのものではありません。認知症の親が突然外出して行方不明になり、勤務中に捜し回ったというケースも。

あるNPO法人の報告では、1日20回以上もトイレ介助しながらテレワークをした事例もあります。


【2】「自分だけじゃない」と知ることで、救われる

厚生労働省の統計によると、親の介護をしながら働く「ビジネスケアラー」は全国で約300万人。毎年約10万人が介護を理由に離職しており、その多くが40〜50代の働き盛り世代です。

さらに、介護と仕事の両立に限界を感じている人は6割以上にのぼり、ストレスが原因でうつ状態に陥る人も少なくありません

育児と違って介護には終わりが見えず、かつ予測できない出来事が頻発します。

だからこそ、**「他にも同じ悩みを抱えている人がいる」**と知るだけで、心が少し軽くなることもあります。


【3】介護休業・休暇制度を知ろう

どうしても仕事との両立が難しい時、使いたいのが**「介護休業制度」**です。会社員であれば誰でも活用する権利があります。

大阪府の田中さん(48歳)は、在宅介護中の父親が転倒して骨折し、退院後に介護が必要になった際、2ヶ月の介護休業を取得

雇用保険からの**「介護休業給付金」により、収入の約67%が支給**され、経済的な不安を抑えつつ介護に専念できました。

●介護休業の概要
・対象家族1人につき最大93日(3回まで分割可)
雇用保険加入者なら正社員・契約社員問わず利用可
収入の67%が給付金として支給
・申請は通常、休業の2週間前までに

一方、1日単位で取得できる**「介護休暇」**も便利。年に5日(2人以上で10日)まで、半日単位で取得可能です。


【4】地域の支援を頼ってもいい

「親の介護、家族だけでは無理」と感じたら、地域包括支援センターに相談を。全国の市区町村にあり、介護認定の申請、ケアプラン作成、サービス利用の手続きをサポートしてくれます。

介護保険で使える主なサービス
・訪問介護(ヘルパー)
・デイサービス
・ショートステイ
・訪問看護 など

また、介護者のメンタルケアも大切
カウンセリングや、**ピアサポート(介護経験者同士の語り合い)**を活用すれば、精神的な負担も和らげることができます。


【5】職場への伝え方:最初の一歩は“正直に”

「介護のことを職場に伝えるのが怖い」——これは誰しも感じることです。

横浜市の山口さん(54歳)は、1年間介護を隠して仕事を続けていましたが、限界を迎えて倒れ、そこで初めて上司に打ち明けたところ、「もっと早く言ってくれればよかったのに」とサポートを申し出てもらえたそうです。

職場に伝えるときのコツは、

  • 今の状況(どんな介護が必要か)を明確に伝える
  • 「仕事は続けたい」という意志をしっかり伝える
  • 具体的にどんな配慮があると助かるか(例:週2回テレワーク、定時退社希望など)を伝える

いきなり上司が難しければ、人事担当者や信頼できる同僚にまず相談するのも有効です。


【6】企業の支援制度も増えている

最近では、社員の介護離職を防ぐため、独自の介護支援制度を導入する企業も増えています。

例)
・大手通信会社:「介護コンシェルジュ制度」(介護専門家と相談できる)
・製薬会社:「短時間勤務制度」(時短勤務でキャリア維持)

**企業にとっても、社員の離職は大きな損失。**だからこそ、柔軟な働き方や支援制度の整備が進められています。


【7】頼ることは恥ではない。「小さな一歩」を今日から

介護は、一人で抱え込んではいけない問題です。
制度、家族、職場、地域サービス——頼れるものはどんどん頼ることが、長く両立を続けるカギになります。

今日からできる“小さな一歩”
・会社の人事に制度を確認する
・信頼できる人に話してみる
・地域包括支援センターに連絡する
・ケアマネジャーに相談する

完璧を目指さなくていい。疲れる前に、SOSを出しましょう。


【8】まとめ:「自分だけじゃない」と知ることが、最初の支えになる

介護と仕事の両立は、本当に大変です。

でも、同じ悩みを持つ人がたくさんいて、助け合える制度や社会資源があることを、どうか思い出してください。

あなたの「ちょっと話してみようかな」が、明日の安心につながります。

頑張りすぎず、頼って、話して、乗り越えていきましょう。

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